仏前のお供え:供花の表は、礼拝者のほうに
 
 仏さまにさし上げるお花は、どんな花であってもよいというものではありません。花のような美しい心でもって、仏さまの周辺をお荘厳するのが供花の意味あいですから、悪臭のある花、棘のあるもの、有毒植物などは避けるのが当然でしょう。
 何よりも、新鮮なお花を絶やさないというのが大切なことなのです。  それから、供花は正面を礼拝する側に向けておそなえいたします。それは、仏さまに花をお供えすることは、仏さまの荘厳であると同時に、ささげた者が、仏さまから、お荘厳をいただくことだからです。また、「六正逆一」といい、正面に六本向け、一本だけ仏さまの方を向けるという方法もあります。それは仏さまに美しい花をさし上げようという、その心はそのまま仏さまの心として、さし上げる者にはたらきかけるのです。供花の表がこちらを向いているのは、その意味をあらわしています。
お花
 
仏前のお供え:灯明は仏さまのお智恵
   お仏壇に、お灯明(とうみょう)――おひかり――を上げるときは、普通は左右二つ上げることになっています。これは、お釈迦さまの教えの”自灯明・法灯明”の意味があるともいわれております。その輝きは、仏さまの智恵をあらわしているのです。
 真宗では、朝夕のおつとめには、輪灯(りんとう)に灯明を点じます。油皿に種油をそそぎ、灯芯(とうしん)を二、三筋入れて点灯いたします。消化のときは、シンチュウ製の香箸(こうばし)で芯をはさみ切って消します。口で吹いて消すなどの無作法なことは、つつしまねばいけません。
 近ごろは、電灯の灯明もありますが、お仏壇のムードをそこなわないものなら使ってください。火災予防の観点からも、安全性が高いという利点があります。
 
仏前のお供え:お供えはすべて供養
 

 仏さま・仏さまの教え・お坊さん(仏・法・僧)の三宝や、父母、先祖、師長、死者などに物を捧げる、つまりお供えすることが、すべて供養ということなのです。
 読経することも行供養といわれます。ご馳走したり、品物を進呈するのは利供養、お寺へ装飾など寄付するのは敬供養といいます。
 仏前に、清らかな水をお供えすることは、浄水供養です。温かいお茶をお供えすることも同じです。また、お食事をお供えするのは飲食(おんじき)供養です。日常はお仏飯(ぶっぱん)、法事の時にはご霊膳をお供えいたします。
 ご霊膳は、仏具屋さんに、小型の本膳のような一式が売られています。内容は精進料理です。お膳のならべ方は一番手前にお箸、左に御飯のお椀、その右が汁、真ん中にお壷。奥の左が煮物などのお平(ひら)。その右が香のものなどの高杯を置きます。お供えするときは、一回転させ、箸を向こう側にします。
 ただし、真宗では、浄水や茶湯のお供え、ご霊膳を用いません。その意味は後述しますが、死者供養という考え方が教義上ないからです。

お供え