葬儀のしきたり1:葬儀の世話人
   身内の人間を亡くした家は、葬儀が終わるまで、悲しみに沈んでばかりいられないほど、大へん忙しいものであります。そこでどうしても遺族に代わって、葬儀に関する事務をさばく人が必要となります。
 葬儀社、お寺、役所などへの連絡、葬式の通知、式次第と係りの決定、尋問客の接待、香典の受付、費用の出納、車の手配などといった細かいことまで責任をもって指示する人が世話人(せわにん)なのです。
 世話人には、親類の中の信頼できる人、故人や遺族の友人の中の信頼できる人、あるいは隣組長、町内会長など、地域の主だった人に依頼するのが普通です。
 社葬とか党葬、公共の葬儀などのように、規模が大きい葬儀では、葬儀委員長や委員を設けて、万般の世話にあたることが多くなっております。
 
葬儀のしきたり1:葬儀社への連絡
   枕飾りのできた段階で、普通は葬儀社と連絡をとり、その後の葬儀に関する一切を依頼するものです。もちろん、地方によっては、葬儀社に依頼せず、親戚や、近隣の人々の手で葬儀をとりしきる所も多いようです。
 この場合、費用にも関係しますので、信用のおける葬儀社をえらぶのがよいでしょう。また、所属のお寺で紹介してもらうか、職業別電話帳を見て業者をえらぶのも一つの方法かも知れません。
 病院で亡くなると、病院専属の業者が紹介され、遺体の搬送から葬儀までやってくれることがあります。しかし、必ずその専属業者に頼まなければならないというわけのものではありません。自宅までの搬送だけを頼んで、あとはちがう業者にまかせても一向に構わないのです。
 
葬儀のしきたり1:葬儀社の料金
   葬儀社の料金は請負(うけお)いとなっています。一応、葬儀料の価格表はありますが、相談次第によって、かなり融通がきくこともありますので、ざっくばらんに当方の希望を伝えた方がよいでしょう。
 今日では、人を招いて葬儀といえるほどの内容をもとうとすれば、六十万円以上は必要だと思わなくてはなりません。(平成10年現在)市町村の祭壇を利用すれば、三十万ほどでもできるのですが、普通は六、七十万あたりです。寝棺はモミの六分板、人絹の経帷子(きょうかたびら)、祭壇は五段、火葬場の等級は上級、霊柩車(れいきゅうしゃ)は高級車が使われます。
 三百万から五百万程度になりますと、棺はモミの一寸二分板、本絹の経帷子(きょうかたびら)、七段の祭壇、火葬場は特別室などで、最高の白木の霊柩車が使用されます。
 関西では、事情はかなりちがっており、中クラスが四0パーセント、上クラスが一0パーセントほどです。祭壇も、五段飾りはあるのですが、だいたい白木飾りは三段くらいまで、百万円以上となれば、青竹を使ったり、庭園式飾りの特殊飾りとなり、段数でいくらといった設備はいたしません。
 このクラスでは、受付用天幕(机、いす、名刺受け、硯箱などふくむ)は、別途料金にならず、休憩所天幕も請負料金の中に入っております。葬儀社との相談がまとまったら、必ず見積書を出してもらってください。
 なお、大規模な業者の場合、お通夜のときには、座ぶとん、食卓、灰皿、コップ、茶器、扇風機、暖房機など、通夜、葬儀に必要な数をそろえて貸してくれますからたいへん便利なものです。
 
葬儀のしきたり1:親戚、縁者への死亡通知
   肉親を亡くした場合、旅行中の家族や、離れて住んでいる家族をはじめ、親戚や故人と縁の深かった知人、友人にあてて、死亡した旨を至急に知らせなければなりません。通知状を送ったり、新聞への広告も一方法ですが、早く知らせるには、やはり電話やFAX、電報によるのがよいでしょう。
 身内に重病人があって、まさかのことが懸念(けねん)されるほどの病態であったなら、どの範囲の人に知らせるべきか、平素心づもりして、通知先の住所や電話番号を書き出しておく必要があります。
 
葬儀のしきたり1:死亡診断書と死亡届
   死亡者が出たことについては、医師の死亡診断書といっしょに、死亡届の書類に、同居の親族や同居者か、または別居の親族が、必要事項を書き入れて、本籍地の市区町村役場へ届け出なければなりません。
 本籍地でない所で死亡したときは、死亡した土地の役所にも届け出が必要です。戸籍法によりますと、死亡届は七日以内に届け出ることになっています。本籍地へ届け出るときは、死亡届用紙は一枚、その他へ届け出るときは二枚を提出します。
 届け出の方法は、用紙が死亡届と診断書とで一枚のものになっていますから、まず診断書の方に、医師が必要事項を記入して捺印(なついん)し、死亡届の方には、届出人が記入捺印します。届け出のとき、捨印(すていん)がいりますので、印鑑(認印でよい)を持参しなければなりません。届け出は、役所の執務時間外、休日でも受付をしております。手がない、時間がないなどの理由でこの届出が困難な人のために、葬儀社によっては、認印を預けると、届出を代行してくれることもあります。
 事故死や急死の場合は、警察の検屍(けんし)をうけて、屍体検案書をもらい、それを死亡届に添付します。
 役所へ届け出をすると「火葬許可証」をだしてくれます。これを受けとって、式当日に火葬場へ許可証を提出し、火葬が終わってから、火葬場管理者が必要事項を記入して、火葬証明を発行しますから、後日、墓地や寺院に納骨のとき必要なこともありますので、保存しておかねばなりません。
 なお、これらの届け出は、葬儀社が代行してくれるケースも多いようです。
 
葬儀のしきたり1:通夜をつとめる
   葬式の前の夜、親族や知人が、亡くなった人の遺体と最後の一夜をすごし、亡き人の霊を守り慰めることをお通夜といいます。
 夜を通してといっても、死者の遺体のそばに一晩中ついていなければならないというわけではありません。しかし、弔問(ちょうもん)客が帰っても、近親者だけは夜が更けるまで遺体の側に在って、仏前のローソクと線香の灯は一晩中消さないよう心すべきであります。
 通夜のおつとめは、午後七時ごろから十時ごろまでに行います。お坊さん(僧侶)をおまねきして読経するのが普通ですが、時には、お通夜に参った人の中から導師役を出してもらい、読経することもあります。また、ご詠歌に唱和する習慣のあるところもあります。
 一方、通夜への弔問客は、礼服や喪服(もふく)を着る必要はありませんが、あまり華美な服装はつつしむのが礼儀でしょう。
 読経が終われば、なるべく早く退席するのが常識です。ただし、遺族と親しい人は、話し相手になって残るのもよいでしょう。弔問客が帰った後で、親しい人との間で、夜食を共にしたりします。
 単に親しい人だけではなしに、お坊さんもまじえ、通夜の弔問客全部に茶菓子や食事を出すならわしも広く行われています。このもてなしを”通夜振る舞い”といいます。食事にはお酒を出すところも多いようです。
 しかし、弔問客は長居せずに、早めに帰るよう心がけておくべきです。適当な時間になれば弔問客に、「明日もございますでしょうから」と申して、引きとってもらいます。これを「半夜」ともいいます。
 通夜の仏前(または祭壇前)では、遺族と、先に来ている弔問客に挨拶(あいさつ)し、仏前に進み、一拝します。それから香典、供物をお供えします。お線香があれば火をつけそなえ、礼拝合掌してから、うしろに退がり、遺族に一礼して元の席にもどります。
 挨拶例をあげてみました。

《お通夜での弔問客の挨拶例》

「○○さま(ご主人さま、ご老母さま、お子さまなど)が、お亡くなりになって、ほんとうに心からお悔(くや)み申し上げます。さぞ、お淋しいこととお察し致しております。今晩は、お通夜に参らせていただきました。なにか私どもにできることがございましたら、ご遠慮なく申しつけてください」

《お通夜での遺族の挨拶例》

「今晩はご多忙のなかを、わざわざ通夜にお参りくださいまして、まことにありがとうございます。なお、ごていねいにお供えまで頂きまして、厚くお礼申しあげます。亡くなりました○○も、さぞ喜んでおることと思います。あまり遅くなりましては、明日のお仕事にさしつかえもおありでしょうし、どうぞお引き取り下さいませ」
 または「つきましては何もございませんが、お口よごしを簡単に用意しておりますので、ご遠慮なく召し上がっていただきたいと思います」