葬儀のしきたり2:相続・税務・保険等について
   相続は、死亡した人が被相続人で、その配偶者や子、親、兄弟、姉妹等が相続人となります。相続人は、被相続人の財産のすべての権利義務を継承しますので、借金も相続せねばなりません。相続順位は、配偶者、子、親、兄弟姉妹となり、相続分は民法で定められています。
 一例を上げれば、夫が死亡して妻と子三人の場合は、妻は三分の一、残り三分の二は子三人の均等割で相続をうけます。
 相続税は、相続財産が、相続一人の場合二千四百万円まで、二人以上の場合は、一人増す毎に四百万円を加えた額の範囲内であれば、納める必要はありません。(例えば、四人の場合は三千六百万円まで)。
 また、その他の課税対象外の財産や諸控除もあり、相続を知った日の翌日から六カ月以内に申告しなければなりません。
 香典には、税金はかかりません。香典は、故人の社会的地位や交際範囲などから考えて、当然だと思われる程度なら問題になりませんし、社会通念上課税しないこととなっており、課税された例を聞きません。  また、香典は、故人に対してのものではなく、その遺族に対して贈られるものですから、相続財産とはなりません。
 葬儀費用は、故人の債務として認められますので、相続財産から控除できますが、香典返しの費用、墓地墓石の費用、法要の費用などは、ここでいう葬儀費用とは認められません。
 生命保険金は、額の大小にかかわらず、二五0万円に法定相続人を乗じた額をこえる部分が相続財産となります。
 死亡退職金、功労金などは、所得課税されませんが、相続財産となります。また、弔慰金、遺族補償費、香典、葬祭料等は非課税となっています。(実質上は退職金でありながら、その一部を弔慰金などの名目で支出するという例があるため、相続税法では、公務死亡は給与の三年分、病気死亡は給与の半年分を超えた部分を退職金とみています)。
 健康保険の被保険者が死亡して、 (一)その遺族が葬儀の執行をしたときは、故人の標準給与の一カ月分が「埋葬料」として、 (二)遺族以外の者が葬儀の執行をしたときは、一カ月分の範囲内で実費を「埋葬費」として支給されます。
 (一)の場合は「埋葬料請求書」に、死亡診断書、埋葬許可書、事業主の証明書等を添えて、(二)の場合は、埋葬費の領収書を添えて、事業所を所轄する社会保険事務所へ請求します。なお、被保険者の扶養家族が死亡したときには、三万円が支給されます。
 厚生年金保険の老齢年金受給有資格者、六カ月以上の被保険者らが死亡したときは、法定の遺族に、基本年金額の二分の一の遺族年金が給付されます。
 国民健康保険、国民年金、特別福祉手当、児童扶養手当、特別児童扶養手当ての対象者が死亡したときは、住所地の市区町村役場へ届け出て、葬祭費の受給手続き、その他を相談して下さい。
 また、死亡者が老齢者で、老人医療証、敬老乗車証をもっている場合は、福祉事務所へ返さなければなりません。
 
葬儀のしきたり2:遺言とその方式
   故人が、遺族に財産処理(均分相続の割合の変更など)や、相続、その他民法で処分できる事項の範囲でしてほしいと望むことを伝えるのが遺言です。
 未成年者でも、十五歳以上なら、誰でも遺言することができるのです。また、子供のある人は、総財産の二分の一を、子供のない人は、三分の二を、遺言で誰にでも遺贈することができます。
 普通は、次の方式がとられます。
(1)自筆証書遺言
 自分で全文を書き、日付を入れ、署名捺印します。遺言書は封筒に入れて、遺言に捺印した同じ印で封印しておきます。
(2)公正証書遺言
 公証人の立会で遺言をする方式です。これは、保証人二人以上の立会が必要です。遺言で利益を受ける人は、保証人にはなれません。
(3)秘密証書遺言
 家族に知らせず、遺言状を書いて、署名捺印、封印したものを公証人にあずけておくのです。この場合、証人二人以上の立会で、公証人の確定日付を受けて法的に成立します。

 なお、遺言状は、すべて家庭裁判所で、検印手続きをうけないと、法律的に無効となりますから注意を要します。
 以上のほか、特別方式による遺言があります。
 疾病その他で、危急を要するときに、立会人が、遺言を筆記し、署名捺印すれば、成立します。これは、成立後、二十日以内に家庭裁判所に提出して、確認を求めなければなりません。